入社の動機
「今日一人、熱狂的なファンを創る」。その言葉は私が心掛けてきた気持ちそのものでした
前職は洋食のお惣菜販売。デパ地下とかで、よく見かけると思います。クリスマスのパーティなどに多く需要がある、ちょっと豪華なサラダやお惣菜ですね。もともと大学4年間もそちらでアルバイトをしていて、新卒で入社しました。
働いていた場所は私の出身地でもある群馬県。ただ百貨店にしても駅ナカにしても、東京に比べると人が少ない。商圏が狭いので、そのぶんリピーターさんづくりにやりがいを感じていましたし、自分を指名して下さるお客様もたくさんいました。
でももっと、いろいろなニーズのお客様と接したい。そのチャンスのある東京で自分の力を試したい、と思って転職を決意しました。
昔から食べ物が好きで、休みの日は一人でデパ地下を歩き、お買い物をしながらディスプレイの仕方や接客を研究していました。だから転職先ももちろん食品の販売で探していたんです。その転職活動で出会ったのがシュクレイでした。
「今日一人、熱狂的なファンを創る」。シュクレイのホームページに書かれていたその言葉は、まさに私がこれまで接客に対して心掛けてきた気持ちそのもの。その言葉への共感を胸に、「東京」、そして「お菓子」という私にとっての新たな挑戦が始まったのです。
出来事
幸せを運んだポイントカード
私が店長になってから始めた「しあわせ日記」というノートがあります。これは、日常の接客の中で嬉しかったこと、心に残ったことをノートに書いて、みんなで共有しようという試みで始めたものです。
ある日、50歳代くらいの男性のお客様がご来店くださり、お会計の時にポイントカードを出されました。そのポイントカードの表の余白に「おいしいお菓子屋さん」とマジックで書いてあるんです。私たちお店の者が自ら書くはずはありませんから、これは間違いなくお客様の書いた文字…。私は嬉しくなって「ありがとうございます!“おいしいお菓子屋さん”って書いてくださって!」とお客様に言いました。
するとお客様は「ああ…」とおっしゃって少し照れ臭そうに会話もせずにお帰りになってしまったんです。私だけ舞い上がってしまったわけですが、それをその日「しあわせ日記」に書きました。スタッフたちは「ほんとですかぁ〜」と半信半疑。
それから1か月くらい経ったある日、今度は女性のお客様がご来店されました。お会計で出されたポイントカードに見たことのあるマジックの文字…「おいしいお菓子屋さん」。
「私、先月、このカード拝見しました!」。思わず、そう声を出してしまいました。するとお客様がおっしゃいました。「主人です。主人その時、女の子に話し掛けられて、緊張してしまって、うまく会話もできずに帰ってきたと言っていました。でも、主人も私もここのお菓子、大好きなんですよ」。
その日、ポイントがいっぱいになって新しいカードを発行しました。お預かりした古いカードはもちろん「しあわせ日記」に貼らせていただきました。
「ねっ!ほんとだったでしょ!」と私。「ほんとでしたね!」と言いながら、みんなの笑顔がはじけました。
そのポイントカードはお客様と私たちを往復しながら幸せを届けてくれました。
「しあわせ日記」が教えてくれたこと
「しあわせ日記」を始めて、みんな日々の接客がより楽しくなり、さらにそれを仲間と共有する楽しさが明確になり、職場の空気も一層明るくなったと思います。
そんな「しあわせ日記」は、もうひとつ新しい発見をくれました。日常の些細なお客様とのやりとりも、それを残すことで、あとでいろいろな捉え方への気づきがあります。
「喜びを創り 喜びを提供する」というのは私たちシュクレイの理念。いつもお客様に喜びを提供できるよう努めていますが、実はお客様にも喜びをいただいている。そのことを「しあわせ日記」を始めたことで実感しました。
私たちの経営バイブル“こづち”にも「感謝する」というページがあります。感謝することで「人間関係や信頼関係を深めていくことができる」。お客様への「ありがとうございます」、そしてお客様からの「ありがとう」。お互いが幸せな気持ちになれる、“相思相愛”の関係。それこそが接客のゴールであると考えるようになりました。
前職の時は、買っていただくことがゴールでした。でも今は違います。もちろん商売である以上、売上は大事ですが、お金ではなく、お客様に幸せになっていただく、それで私たちも幸せを感じる。それが今の私が考えるゴールです。「もっと成長したいと思って東京に来て、シュクレイに入ってよかったね」。その気づきは、私にそう言っています。
ルーツ
相手がどんな人でも、相手を尊重し、心を開く。それが接客の基本
みんなが楽しいといい。子供の頃から、そういう思考がありました。自分では普段から意識していたわけではないのですが、それに気づかされる出来事が中学、高校とありました。
中学時代、軟式テニス部に所属していたのですが、3年生の引退後、新部長に任命されたんです。毎年、顧問の先生と副顧問の先生が指名することになっているのですが、部員を集めた体育館で「次の部長は飯島だ」と。「ええー!」とどよめきが起こりました。それまで毎年、一番テニスが上手い人が部長になっていたんです。私はどう考えても4番から5番目くらい。解散後、職員室に行って先生に訊きました。「何で私なんですか」。先生は「飯島はどんな子とも話せるでしょ。グループとか関係なく。それが大事なんだよ」と。
高校時代の茶道部でも部長に任命されました。「飯島はみんなと楽しく話しているから」。またしても顧問の先生に言われました。ずっと“普通”だと思っていたこと。でも言われてみれば、女子にありがちなグループとかに昔から捉われない。ある意味、一匹オオカミ(動物占いも“オオカミ”/ 笑)なんです。
他人と違うのかな?自分では当たり前と思っていたことも、他人からみれば当たり前ではないこともあるのかもしれない。その頃から、そう考えるようになりました。それを活かせる仕事。それが接客でした。
人が好き。相手が笑顔になるのが好き。相手がどんな人でも、相手を尊重し、心を開く。それが接客の基本。自分では当たり前だと思っていたことが接客の職に就くきっかけになりました。
そしてシュクレイで「しあわせ日記」を通して、さらにその先に辿り着くことができた。これはゴールではなく、まだ始まり。これからも自分にできることを探して、お客様が、スタッフのみんなが、幸せになる、そして私もそれに幸せを感じる職場を追求していきたいと思っています。